シャムロックの花言葉

2018年6月にDOLCEから発売された、シャムロックの花言葉の感想になります。

非南浜よりこのmoreゲーなんて……とスルー予定の本作でしたが、体験版が面白い上に援交要素も強めだったので手のひらをぐるんぐるん返しながら購入しました。

結果的にはまあ面白かったんですけど、景気よくCGをバンバン公開した割に蓋を開けると41枚とミドルプライスにしてはかなり少なめな上に半数はサイトで公開済みだったりと値段の割にボリューム不足が目立ってしまった作品だったなぁと。

ストーリーも体験版でかなり見せているので、発売前に体験版をプレイして興味を持ったり、熱心にサイトを訪問していた方ほど物足りなさからの不満を覚えてしまう内容なのが悲しかったですね。

DOLCEの前作で同価格帯のカサブランカの蕾にはあったOPムービーもなしにされているあたり、相当にコストカットされているみたいです。

ただ最近ではめっきり少なくなってしまった面白いストーリーのダーク系作品、援交シーンが多数ある抜きゲーという点ではそれなりにお勧めできるのではとも思います。

以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)。

◆ルート構成&シナリオ

本作は四人の女の子(恋子、まつり、亜季、七華)を主人公に据えた群像劇の形を取っているため、攻略ヒロインという概念はありません。

また同じ時系列の話を視点を変えて追っていく構成になりますが、誰の視点から観るかの順番は完全固定で選択肢による分岐もスポットが当たったキャラの話のラストにBADEND分岐としてあるだけなので、一本道となっております。

ストーリーは以下のような感じ。
公式のものだとイマイチどんな話か分かりにくいように思えたので、体験版恋子編の内容をある程度纏めてみました。
体験版までの話もネタバレ見たくねぇ! という方は飛ばしてくださいね。

進学を機に離れ離れになってしまった四人の少女がいた。

その内の一人・雪宮七華が援交に手を染めたという噂と雨の日に人が消えるという連続行方不明事件で街は満たされる。

久しぶりに会った親友の様子のおかしさから噂を確かめるべく調査に乗り出す佐倉恋子。

調べていく内に親友をその道に堕としたのがかつて自身を強姦した従兄・彼我恭介であることが判明し、もうひとりの自分に会いたがっているため、恋子の側から会いに来るように裏から周りの人間へ手を出していたことを知る。

恋子は恭介から受けた強姦が原因で雨音を聴き続ける、若しくはあるクスリを飲むことで人格が切り替わる二重人格者となっており、時折自身の部屋に置かれていた覚えのない七華へ繋がる情報が書かれたメモや万札はもう一人の恋子の活動の成果物だったのだ。

こうして自身を取り巻く悪意を理解した恋子は全ての復讐を誓い、動き出す……。

基本的には楽しく日々を過ごしていた女の子グループが悪意を持った敵の出現により居場所を壊され、一人、また一人と不幸のどん底に堕とされていくストーリー。

この暗い場所に堕とされていく過程で援交や強姦、裏切りなどを巧く絡めていたので、そういう意味ではエロとシナリオを連携させることは出来ていたのかなと。

なので本作の場合は先が気になるからとエロシーンを飛ばさないほうが良いと思います(特に恋子の強姦シーン辺りはちゃんと観ておかないと終盤で明言されるまでどちらの恋子が本来の人格か分からなくなるので)。勿論、強制ではないですけどね。

こう書いていくと暗いワード盛りだくさんで鬱ゲーっぽく見えるかもしれません。
確かに話自体は暗いですが、描こうとしているものは前向きなものですので、後味の悪さなどを心配されているならそれは気にしないで良いかと。


また本作はタイトルにあるようにシャムロック(クローバー)の花言葉を意識した内容になっています。

本編後半でも実際に提示されますが、花言葉を調べると出てくるのは「復讐」、「私を思って」、「幸運」、「約束」の四つ。
それに加えてシャムロックはクローバーの中でも三つ葉のものを指すことを考えると……という風な。

これらが本作のシナリオやキャラクターの下地になっているため、プレイされる際は心の片隅にでも置いておくとより楽しめるのかなと。


シナリオ方面で個人的に思ったことを少し書くと、本作は上で書いたことと主題歌「falling」の歌詞にもあるように基本的には今ある幸せを粉々に破壊され堕ちていく話です。

ですがそれだけでは終わらず、千切られてしまった「幸運」を「私(互い)を思って」、「(交わした)約束」を胸に抱いて取り戻し、「幸運」の代わりに入ってきた「復讐」を千切るまでのお話でもあると思いました。

暗躍する男たちによって、あるいは誰かの裏切りによって、仲の良かった女の子たちは踏みにじられ不幸に突き落とされ、追い詰められていきます。

それでも誰かが誰かを思って行動し、その積み重ねが不幸を打ち破るまでを描いているので、暗いですけれど、力強く前向きな話だったなぁと。
ざっくり言うと女子の友情ゲーですからね。


あと話は変わりますが、敵である男のクズグループが結構いい味出していたのが好ポイント。

コウキが特に。彼はなんか七華編での振る舞い見てるとガチクズなのは間違いないんですけど、ちょっと心を許したくなってくる不思議な魅力がありましたね。まあ許すとおしまいなんですけど。サクもまあまあ。

この辺りは出番も多く、重要キャラでもあるので立ち絵くらいは付けてあげても良いのにと思いましたね。信者さんあたりもか。(CGのサクの顔見る限り、男は上手く描けない原画家さんぽかったのである意味で描かないのは正解だったのかもしれませんが、やはり必要ではありました)。

好ポイントというと声優陣も決して巧い訳ではない(下手でもない)んですけど、素朴な感じが女子高生役に合っていて良かったですね。
more御用達メンバーでもないので新鮮でしたし。


不満点を挙げるならどの視点の話も近寄ってきた男が仕掛け人でそいつに堕とされていく内容なので、やや焼き回し感がある(まつり、亜季編が特に)。

・CGがあまりにも少ないので欲しいと思った通常シーンにないのが致命的。せめて二人の恋子が対面するシーンやED付近には欲しかったなぁ。演出も貧弱。
CGという程ではないですけど、終盤ホテルに乗り込む前の七華の縦読み手紙なんかも手紙の絵を表示したりとかして欲しかったですね。

・男どもの立ち絵なしや背景がほぼ過去作の使い回し、CGの異様な少なさ、明らかにカットされているエロシーンの存在などコストカット臭が濃厚に漂いすぎ。きっちり予約買いした身としてはかなり悲しさがある。

・OP曲が用意されているのにタイトル画面で流れるだけで作中での使用はなく、ムービーもなし。一体なんのために作った? サントラ売るためか? コストカット臭がt

・総じて本来のミドルプライスボリュームがあればもっといい作品になれたのになぁという残念さがありました。


◆絵+えっちなしーん

本作は少女マイノリティ以来の北風つかささん原画ですが、マイノリティの頃に比べてエロさという意味ではかなりレベルアップしているかなと。

どうしたってmore系列になると南浜よりこさんの存在感が圧倒的な上に画風も似ているので比べざるを得ませんが、健闘していたと思います。

またマイノリティではあまりのやる気のなさにキレ気味で文句を書いた下着デザインも本作ではかなり改善されていて嬉しかったですね。

それだけにこのレベルアップした氏のCGをもっと見たかったんですけどねぇ。
41枚て……Lilithならロープラの範囲ですよこれ……。


シーン数は以下の通り。

恋子……6
まつり……5
亜季……6
七華……7
恋子&七華3P……1
まつり&亜季3P……1

シーン数は十分だと思います。尺は体感やや短め~並くらい。

シチュとしてはほぼほぼ援交と凌辱なので好きな人には堪らないラインナップ。
輪姦や乱交もありますからね……最高かよ……こういうのを南浜よりこ先生作品でやって欲しいんですけどね。

援交シーンでは意外と他メーカーで出来ていなかったりするお金のやり取りもきっちりしていたので、満足度が高かったです。個人的には円交少女に続く良援交ゲーでもあるなと思いました。

亜季と七華も悪くないですが、恋子とまつりがほんとシコれましたよええ……。

それだけに自分に好意を寄せる女子の後輩を性処理道具に使う亜季とかまつり凌辱や色んな所であったエロ二回戦目などカットされたエロが多いのが非常に残念でしたね。
そこを見せろとなんど机を叩いたことか。


感想は以上です。

本当はシナリオ方面でもっと書こうと思っていたのですが、面倒になったのでここまで。

コスパという点ではあまりよろしくはないですが、ダーク系でなにか良いのがやりたい、援交エロでシコりたい、moreでシナリオ面白いのないのか? という方にオススメ。

本作をやってmoreは南浜よりこ原画/垂花シナリオのフルプラダーク系作品出せば良いのにと心の底から思いましたね……。