作品名はつゆきさくら
メーカーSAGA PLANETS発売日2012年2月24日
原画ほんたにかなえ、とらのすけ、ちまろお気に入り度8/10
シナリオ新島夕点数82点












ディスク認証は初回起動時のみ。それ以降はディスクレスでプレイ可能です。また、ワイド画面にも対応。

プレイ時間は見せ場的な場面、個人的に気に入ってる箇所はボイスを全て聴き、それ以外はテキストを読んだら飛ばす。というプレイスタイルで約20時間。(途中、延々とリピートしていた箇所があるのですが、それは含んでいません)
攻略はとても簡単。というのも結構、ルートの順番に制限が掛かっていて、尚且つ、お目当てのキャラを選んでいくだけでルートに入れるという仕様なので攻略に困ることはないでしょう。
最初は強制的に桜bad。その次に綾と夜が解放され、一周する度にシロクマ→希→おまけ(直子、恵、一人飯)&True。という順番で徐々に選べるルートが増えていきます。

推奨攻略順は綾→夜→シロクマ→希→おまけ→True。
ただ、Trueには途中選択肢があり、そこで二つのEDへ分岐します。具体的には○○とキスするとノーマルEDへ、○○を抱きしめると真EDへ行けます。もちろん真EDはラストに回すのをオススメします。

ただ、おまけルートの直子、恵は本当におまけ的なもので、エロはなし、そして恋愛関係になる、ということもありません。
また、綾ルートはなるべく桜badのすぐ後にやったほうが良いです。(以下若干のネタバレのため反転)
ぶっちゃけ過去編なので。綾ルートをクリアするまでが共通部分と言っても差し支えないです。
まあ、自分は欲望の赴くままに夜ルートから始めてしまいましたけどね……

システムについて。スキップ、バックログ、ホイールでの文章送り、個別のボイス設定など、基本的な項目に加え、オートモードの時間調整、ゲーム動作を遅くして他のプログラムをスムーズに動作させる、などがあります。
戯画などと比べるとやや物足りないですが、基本的なものは全て揃っているので問題ないでしょう……が、右クリックでのウインドウ消去がないのが個人的に残念。
反対にありがたかった設定はムービーの音量設定。普段、イヤホンを付けてプレイしているため、どうしてもBGMを低めにしてしまい、OPやEDの歌が小さすぎる……ということが良くあったので。

次に原画。絵に関してです。背景は並みのエロゲぐらい。特に不満は感じないでしょう。またイベントCGはとても綺麗です。典型的な萌え系の絵なので、エロゲをやっている人なら嫌い! と思う人はあまり居ないんじゃないでしょうか。
複数原画ですけど、それによる違和感も皆無でした。後は偶にカットイン形式のCGも使われていたのが印象的でしたね。
ただ、血が出ている、とテキストで言われているのにCGでは血が出ていないなどの箇所があったのが非常に残念。差分で出来ることだろうし、そこはなんとか頑張って欲しかったところ。
あと、絵という訳じゃないんですけど、「バニッシュだ」という掛け声と共に放たれる剣のエフェクトが綺麗で好きです。どうでも良いですね、はい。

次にメインのシナリオ&キャラクターについて。
世界観は一般人の目には見えないゴーストが跋扈している街が舞台、ということ以外は何の変哲もない現代の学園モノ。
キャラクターはどいつもこいつも濃いです。全員が全員自己主張が強いので中々のカオス空間を形成してくれます。特にメインヒロインと主人公。
ただ、メインキャラたちは胸に一物を秘めているキャラが大半ですね。そこがシナリオにも関わってきますが。
主人公の初雪は残念ながらボイスなし。普段から死ねやシモネタ連発したりするけど、割と優しく、照れ屋だったり、それを指摘するとキレたりする、いわゆるツンデレな主人公で結構気に入ってたのでボイスは欲しかった。見せ場的な場面も主人公らしく多いので余計に。

キャラクターのCVはどれも良かったと思います……一人を除いて。具体的に言ってしまうなら妻。もうちょい上手い人を使って欲しかったなあというのが正直な所。それなりに出番も多く、熱い場面もあったので尚更。
まあ、究極の俺得である杏子御津さんと桐谷華さん、星咲イリアさんを起用してくれているので、それだけで幸せなんですけどね。
以下は男女別個人的一押しキャラ。

男……初雪、アキラ、妻。
女……希、夜、サクヤ、直子、宮棟、綾、来栖、ラン、桜。


テキストは読みやすいです。ちゃんとこれは小説ではなく、ゲームと言う媒体なのだということをしっかりと理解している感じでぽんぽん読み進められます。
基本的に一人称で一箇所か二箇所三人称に変わる所があります。
あと個人的に新島さんのテキストで好きなのはキャッチコピー的な言い回しが上手いこと。「俺はもう、春に至れなくてもいい~」のくだりなど、個人的につぼに来る言い回しが多いです。

さあ、シナリオについてですが。なんだろう、凄く説明し辛いんですよ……体験版やってない人にとっては主人公の立ち位置が既にネタバレだし。他の諸々も……うん。
それでも、無理に説明するなら、こんな感じだろうか。
とある目的を持った目つきの悪い不良な主人公・河野初雪は退学すれすれの日常を送りながらも、目的を果たすため雌伏の時を過ごしていた。
だが、ある夜に不思議な少女と出会う。白いドレスにウサギのような謎の生命体を引き連れた少女。
それから少しの日がたち、進路指導担当の先生・来栖に退学をちらつかされ、進路指導委員の役目を仰せつかってしまう。大切な人との約束のため、退学と言う自体は避けたかったのだ。
半ば無理やりにして委員を任せられた初雪は委員長の東雲希を初めとする、ネジが二、三本外れたようなハイな人たちとウザがりつつも次第に関わりを持ち、同じ時を過ごしていく。
だが、時間は穏やかながらにも確実に進んでいた。
――とある目的の決行の日へと。

………………
…………
……

無理でした☆

いや、すみません。結構真面目にやろうとしたんですけど、自分の実力じゃあここが限界です。難しすぎる。
気を取り直して言うと、シナリオは面白いです。間違いなく。
萌えゲーのような学園モノのストーリーを進めつつ、その裏でばら撒かれる伏線。その回収の上手さ。馬鹿な私はその度に「なん……だと?」と言いつつ、ワクワクしながら一息に読み薦めてしまいました。多分、今までやってきたエロゲの中で最速でクリアしたと思います、はつゆきは。徹夜して、しかも二日でクリアしたのなんて初めてだよ!
それだけ熱中できたってことですけどね。また、前述したようにキャラクターが濃いのも良かったですね。掛け合いが面白いのなんのって。
それにヒロインの可愛さがもう……ね。シリアスを求めて買ったのに、気付いたら夜ルートのバレンタイン祭と希ルートのデートの場面を憑かれたように延々とリピートしていたんだ。あの時は戦慄しましたね。気付いたらリピートしていたんですから。

しかしです、人を選びます。かなり。全体の割合で言うと萌え六割、シリアス四割ぐらいなのですが、問題は結末。
ライターの新島さんの評判的に分かっている人が多いでしょうが、切ないタイプの結末が殆どなので好き嫌いが顕著に出ます。そういうのが苦手な人は回避推奨。逆に私のようにそういうのが大好物って人は迷わず買ってください。一緒に春に至りましょう。


……割とどうでも良いですけど、前回のユースティアに続き、今回もぼろぼろ泣きました。
生徒と教師の繋がりとか、卒業式で友人が居る前での涙とか、リアルに経験したことがあるだけにすぐに涙腺にきちゃうんですよねえ。モニターに釘付けになりながら、泣く私は端から見れば最高にキモかっただろうな。
それに卒業式のあのなんとも言えない雰囲気とかを見事に再現してるのには驚きました。エロゲって凄い。
ただ、一つ難癖を付けるなら戦闘シーンのお粗末さ。(若干のネタバレのため以下反転)
シロクマルート後半の初雪対サクヤを初めとする、盛り上がってきたあああぁぁああ! ってところで一瞬で終了したり(それだけ実力差があるのだろうけど)もうちょっとなんとかならないかなあと。
基本SEとエフェクト、セリフだけですしね戦闘。熱い組み合わせが結構あったのにそこが本当に残念。



音楽について。BGMはクオリティが高く曲数も多め。また、冬らしいしっとりとした曲が多かったですね。舞台にあっていてとても良かったです。
ボーカル曲はOPのHesitationSnow、グランドOPのpresto、挿入歌のメリーゴーランドをぶっ壊せ、freak of nature:start、EDの風花、グランドEDのGHOST×GRADUATIONの計六曲。多いですねえ。
freak of nature:startはなんというか通称「ダバダ~」。ボーカル曲というよりBGMという気がするけど、ボーカル曲扱いだったので一応。体験版で初めて聴いた時はなにこのネスカ○ェゴールドブレンド、ふざけてんの? シリアスなシーンが台無しだよ! とか思っていたけど、何度も聴いてるうちに「あれ? 結構良くね?」 とか思い始めたのは多分仕様。うざくてもオフにはしないほうが良いよ!

オススメはHesitationSnow、メリーゴーランドをぶっ壊せ、GHOST×GRADUATION。
特にHesitationSnowはOPムービーが出た時からヘビーリピートしていた曲なので、かなりお気に入り。また、歌詞が本編と結構リンクしてるのも良い感じ。恐らく今年の個人的ベストエロゲソングトップ5に入るんじゃないかと言うぐらいに好き。(気が早い)
メリーゴーランドをぶっ壊せは劇中で竹田直子が歌っている曲。EDでも使われていますが、軽快なロックナンバーで良い曲です。正直結衣菜さんを舐めてました。ちなみに作詞は本作ライターの新島さん。
そして本作ラストを飾るGHOST×GRADUATION。すば日々でEDを歌ってたmonetさんが担当。ラストに相応しい良い曲なんですけど、サ ン ト ラ に 収 録 さ れ て い な い。どういうことなのだ、これは。
ああ、後からCD出るんですよね。買いますよ、買います。エロゲソングオタですしね……

最後にエロについて。シーン数は以下の通り。
桜……4回。
綾……4回。
夜……4回。
希……3回。
シロクマ……3回。
ラン……1回。

まあ、並みのエロゲくらいですね。ただ、綾、夜、桜はフェラや前戯のみが1シーンあるので実質3.5シーンかな。そしてシロクマはオナニーで1枠潰れてます。相変わらずの冷遇っぷり。ついでに同じくシロクマのとあるHシーンは最早、ギャグ。それが良いのか悪いのかはともかく、エロで笑ったのは久々でしたね。
あと全体的にHシーンは尺が少し短いんですよねえ。しかし、解せないのは直 子 とサ ク ヤ に エ ロ が な い こと。いや、分かってたけどさ……でも、それでも欲しかったんだよ。

気になるおしっこですが夜に1シーンあります。CV桐谷さんでおしっこというだけで幸せなんですけど、SE欲しかったなと。おしっこにはSEはないといかんでしょう!


感想は以上です。
良いエロゲでした。とても。さっきも書きましたが、卒業式の雰囲気が良く出てるんですよ、本当に。凄く、心を揺さぶられました。
それはともかく、シリアスなお話や暖かくも少し切ないお話。特に後者が好きな人には是非、プレイして欲しい作品です!
出来るならば、今後も新島さんには単独でシナリオを書いて欲しいですね。