円交少女2  JKアイドル真鈴の場合


2017年11月にFrillから発売された、円交少女2 〜JKアイドル真鈴の場合〜の感想になります。

前作から二年以上もの時を経てようやく、ようやくリリースされたFrillの円交少女シリーズ最新作。

今作では枕営業がメインに描かれるため、同じテーマを据えていた手垢塗れの天使を超えられるのか、久しぶりの恋泉天音原画のFrill作品ということで注目していました。

結果としては全体の完成度、という点では超えられたのかなぁと。
シナリオに関しては個人的には手垢塗れのほうが好みでしたが、こちらはこちらでまた別のアプローチを見せていたので楽しめましたね。

ロープライス作品としては十分な出来だったと思います……が、作品規模としてはミドルプライスのそれでやるべき物だった感触なのでその辺りは残念でした。

一応本作はシリーズ物の二作目ですが、前作との繋がりはサブで続投キャラが一名いるぐらいなので、前作をやってないと話がわからない等ということはなく、こちらからのプレイでも問題なしです。

以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています。また、ネタバレしない程度に手垢塗れの天使の主人公と本作の主人公を比較していますが、ご了承ください)。

◆シナリオ

前作は一般人のJKが援交をする内容でしたが、今作ではアイドルの枕営業モノに。

ただ、やることは前作と同じで何らかの理由で身体を売る少女がその果てで何を得るのか、というのをメインにしています。

あくまで個人的にですが、前作がどちらかと言えば歪ながらも再生を果たしているとするならば、こちらは喪失を描いたお話になるのでしょうかね。

本作はロープラ且つ、エロシーン主体の題材であるため、壮大なシナリオなどは用意しにくい構造をしているのではと思います。
ではシナリオの成否を分けるのはどこかというと、キャラクターをどれだけきっちり描けたかに掛かってくると思うんですよね。

本作はその点に関しては良くやれていて、一人の女の子が疲弊し、壊れていく様が描けていたなと。

別メーカーで同じ題材の手垢塗れの天使とはまた違うベクトルで良い作品に仕上がっていると思いました。


話の基本展開としては以下のような感じ。

18歳というジュニアアイドルとしての岐路に立たされた主人公・黒川真鈴。
ジュニアアイドルとしての活動の限界を悟った真鈴はこの業界で落ちぶれていくのを良しとせず、アイドル活動を続けつつ、以前からの夢であった歌手デビューを果たすため、同業の先輩・伊野の後押しもあり事務所を変更することに。
しかし、そこで夢の道を拓くために用意されたのは自身の身体を使っての枕営業なのであった……。


今回の主人公・黒川真鈴は歌手デビューという夢と自身の容姿への絶対の自信を持っているため、負けん気、上昇志向が強く、プライドも高い女の子です。

しかし歳は現役ジュニアアイドルということで18。
まだギリギリ高校生のそれで、この歳特有の危うさや空虚さが上のもの以上にピックアップされていたかなと思います。

手垢塗れの主人公も性格は似たような感じでしたがあちらは絶対の自信と目標を掲げ、そこに辿り着くために使えるもの全てを使って頂点を目指す、という風な貪欲な主人公タイプ。

対して真鈴は目標等を掲げながらも歳相応のどこか投げやりな姿勢と空虚さが出ていたなぁと。
円交少女2はこの辺りの真鈴の描き方が凄く巧いんですよね。物凄くやるせない気分にさせてくれます。

枕に対しても最初はかなり嫌悪感を出していて拒否をしたりもしますが、周りの大人からそれを責められ、やらされ、やがてそれが当たり前になって受け入れていく、上へ昇りつめていく手段として積極的に用いるようになる。

これで本当に良いのかと疑問に思ったりもするけれど、今更後には引けず、「大人」から言われたお前の取り柄はおっぱいぐらいで他に何かあるの? という言葉や母親の存在が足枷になり、誰かを頼ることも出来ず、独りきりで疲弊していく……。


この辺りの大人に翻弄される子供としての姿や夢と掲げる割には希薄な歌の描写が、真鈴というキャラクターを形作る上で巧く作用していたなと。

特に歌の描写はそもそも真鈴の歌への想いがほぼ語られないというのもありますし、終盤の真鈴の念願がボロボロではあるものの叶ったステージのシーンがガッツリ省略されたりすることからも、自分の夢は、ホントウにやりたいことはこれなんだと自身に言い聞かせている、崩れかけているものを必死で押さえているような儚さが感じられてよかったですね。

オチも死を持ってしても真鈴はクソみたいな世界から逃げられず、その世界に留めたのが自分が真心を込めて届けた歌に心動かされたファンというのが皮肉。

命あっての物種かもしれませんが、生殺与奪権はほぼほぼ真子に握られている上に残光ルミネセンスの歌詞なども合わせると真鈴という人間の輝きはあのステージのシーンで燃え尽きてこれからはないとも取れますし、前作よりもシビアな結末になったなと感じました。勿論、再起の可能性がないなんてことは言いませんが。



本作はストーリーという点では特に優れた所はないですし、平々凡々というかAV女優の自伝かなんかでありそうだなって感じの話でしたが、キャラクターをきっちり描けていたので、そういった意味でシナリオが良い作品だったなと思います。間のとり方や心理描写もきれいでした。

後は個人的にですが、キャラクターという点で残念だったところが一つあって、真子さんが魅力なくなっちゃったなと。
前作のラストからは底知れぬものがあって惹きつけられたのですが、今作では女衒
以上のものが感じられなくてガッカリしてしまいました。


◆前作からの強化ポイント・えっちなしーん等

前作からの強化点は幾つかあって以下のような感じですね。

・CG枚数の増加。23→26。
・それに伴い前作では結構な数があったCGの使い回しがほぼ消滅。
・前作はPVだけだったが、今作ではOPムービーを導入している。
・パコマネまであったBGVの音量が消音に出来ない不具合が修正された。

以上ですかね。
反面、バルーンウィンドウなどは前作のままで特に弄られていません。この辺りがエロやCGの総数とかもそうなんですけど、作ろうとしているものに対して作品規模が足りてないように思えるんですよねぇ。

プレイしている時にここでCGや枕エロとか入れてくれてたらな~ってところが結構あります。
要するに演出が弱いかなと。

以下はシーン数。

真鈴……22(本番14)
伊野先輩……2(本番1)
真子……1

シーン数は十分。

ロープラにこれ以上求めるとバチが当たるレベル……なんですけど、エロに対する不満が幾つかあって、まずは伊野先輩のシーン少なすぎぃ! というのが一つ。
思えば手垢塗れでもアンリのシーン二つしかなくて悲しんでましたわ。

一つに恋泉天音原画作品の華と言えばクッソ気合の入った下着デザインというのが自分の中で一番に挙がるんですけど、今回は水着だったり最初から裸だったりで少なかったのが残念でした。

一つに真鈴は結構胸が大きい、お前の取り柄はおっぱいだけとか言われて胸が大きいですよ描写多いんですけど、それを活かすようなシーンがなかったのが残念。
個人的にパイズリは使えないのでなくて良いのですが、もうちょい胸を揉んだりして弄ぶシーンは欲しかったですね。

あと最大の不満なのが枕営業じゃなくてオタクとの絡みが無駄に多いということ。
これは本当に不満でしたね……カネと権力に跪いて媚びる枕営業が見たいのに、その辺の小金持ちのキモオタとの絡み見せられてもな……という極めて個人的な理由です。


ただ恋泉天音さんの美麗としか言えない絵は健在どころかより磨きがかかったなと思いますし、前作よりもシコ度は大幅に上がっていると思いますので、シコゲーとしてもオススメです。

Frill作品で一番“使える”と思っている程度にはお気に入り。何と言っても恋泉天音原画の枕営業ゲーですからね。

このシチュが好きな人は無条件で購入しても良いくらいだと思いますよ、本当に。
故にもう少し作品規模を大きくしてほしかったと悔やんでしまうのです。

……次の恋泉天音原画のFrill作品は一体何年待たされるんでしょうね。