作品名BALDR FORCE EXE
メーカー戯画発売日2003年1月24日
原画菊池政治シナリオ卑影ムラサキ
KOTOKOムービー神月社
対応OSWindows 98/2000/Me/XPお気に入り度7/10
ディスクレス点数81
プレイ時間約32時間


卑影ムラサキ氏がライターのバルドで唯一やっていなかったフォースですが、とうとうプレイしました。
15年以上も前の作品とは思えないほどにガッツリと遊べて楽しめたのですが、やはりスカイとハートをプレイした後だと色々と足りない所が目について評判の高さ程には楽しめなかったというのが正直な感想ですね。後継作の方が出来が良いというのは健全ではあるのですが。

ちなみに2002年発売の無印と異なる点は以下の通り。今からフォースをやろうと思っている方は余程の拘りがない限りはEXE版にした方が良いかと。
・コンセプトに沿って作られたステージをクリアしていく新モード「HELLモード」が追加
・「HELLモード」特典用のご褒美CGが追加
・新兵装「グラビティフィールド」が追加
・難易度に「VERY EASY」追加
・OPムービーがEXE用の新規のものに差し替え

以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)。
◆ルート構成

攻略ヒロインはみのり、彩音、月菜、リャン、バチェラ、ワイアードゴーストの六名。
卑影バルドなので今作でもルート順はほぼ完全固定で大体のヒロインにBAD、NORMAL、GOODの三種のEDが有ります。
完全固定制のメリット・デメリットについてはバルドハートの感想で書いたのでここでは置いておきます。攻略順としてはみのりor彩音→月菜orリャン→バチェラワイアードゴーストという具合。

ヒロインの所属している組織がそれぞれ異なるので、それに合わせて主人公である透も軍、VSS(民間セキュリティ会社)、飛刀(テロリスト)と立場を変えていきます。同じ時系列の話を一周毎に別の角度で観ていくタイプですね。
この構成自体は良いと思うのですが、本作のチュートリアルに当たるみのりと彩音の話が単独だとあまりにも弱すぎたので、纏めるなり一人をサブに落としてしまった方が良かったなー(ついでに言うならバチェラもルートにするよりはエロ有りのサブくらいで良かった気がします)と感じましたね。二人共軍所属なので無理なく出来たでしょうし、なまじ最初に選べるせいで戦闘の難易度も2ルートで変わり映えせず、ADV・ACTパートともに退屈でヒロイン六名というのは話の割に多すぎたと言わざるを得ませんでした。

また、シナリオ展開には特に絡みませんが、二周目以降は新しいヒロインを攻略する度に一つ前に攻略したヒロインの追加えっちシーンが見れるアイテム(スカイ・ハートで言うプラグイン)が貰えます。
彩音ルートクリア→みのりシナリオで使える「バイブ」
月菜ルートクリア→彩音シナリオで使える「野外バーチャルプレイ」……etcという具合に。
このアイテムが使えるタイミングは初回エロになるので、効率良くシーン回収したい方はその辺りのセーブデータを残しておく必要があります。
正直、この仕様はひたすら面倒臭いだけでイマイチでした。アイテムを持っていると追加エロが見れるということ自体は良いと思うので、例えばACTパートで良い戦闘結果を残せた時とか選択肢に依る分岐で貰えるとかにした方が良かったと思いますね。
セーブ残していない場合は無駄に時間を取られるだけなので。スカイ以降みたいにシーンジャンプがあれば良いんですけど、フォースにはルートマップしかないですからねぇ。


◆シナリオ

ストーリーは以下の通り(公式サイトより)。

ネット世界における人型戦闘ツール『シュミクラム』を操り、
ハッカーとして気ままに過ごしていた主人公。
しかしハッキングチーム最後の大仕事として 軍 のデータベースを
ターゲットに選んだことから主人公の人生は大きく動き出す。
ネット空間内での軍とテロ組織の抗争に巻き込まれ、
親友は主人公をかばい不慮の死を迎える・・・。
親友の形見に復讐を誓う主人公。
彼はそこから 軍 や ネット警備会社 、テロ組織の様々な人物と出会い、
共に戦い、あるいは敵対することになる。
だが、それぞれ独立し無関係と思われた人物、エピソードは、
過去に起った、ある出来事に繋がりがあったのだった・・・。
主人公は知らず知らずのうちにその繋がりを中心とした争いに深く関わり、
最終的にその出来事の全貌が明らかになったとき主人公は、
愛するものを救うため、自分の存在をかけた戦いを挑むことになる・・・

親友の仇である謎の可変型シュミクラム使いが所属している軍に入隊して任務をこなしつつも身内を調べていくのが基本展開。
スカイやハートよりも時代的に前なのでネットへのダイブは有線ですし、ガラの悪い輩や近未来感がありながらも雑多な様子の街が良く出てきてサイバーパンクとしての雰囲気は卑影バルド三部作の中で一番出ているかと。

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最初に出てくるこの背景が「如何にも」という感じでテンション上がります。

また雰囲気と言えばバルドシリーズでは毎度ニューロマンサーのようにルビを多用したスラング混じりのテキストが持ち味でしたが、本作でもあり、スカイ以降よりも胡散臭いと言うかチープな感じの言葉選びがまた雰囲気を良く出しているなと思いました(ただ、テキストの質自体は卑影さんにしてはイマイチに思えました。好意的に見ても修飾とは捉えられない重複表現の使用や語彙が少ない印象を受けてしまいましたね……)。

さて、ストーリー面の話に移りますが、ハートではシナリオは面白いながらも行動がふわふわした主人公とメインヒロインのキャラが弱くてイマイチ乗り切れずに終わったため、スカイのように主人公に明確な目標が提示されている本作は面白くなるだろう(何より評判が異様に良い)と踏んでいたのですが……結果としては主人公の透が空気という訳ではないんですけど、場当たり的な行動が多い上に行動をする上での信念のようなものもまるで感じられず、物語の華たる主人公というよりは狂言回しのような印象が強く、感情移入や好意の一つも持てないまま終わってしまったなぁと。
最近、自身の感受性の劣化が著しいのでそのせいかもしれませんが、本当にプレイヤーの一番近くにいるパートナーたる彼に対して何かを想うことが悲しいことにまるでなかったんですよ。

そしてフォースのシナリオ自体は基本的に良くも悪くも斜め上を行くことはなく、ひたすら王道を征く内容なので、先が結構読めますし、驚くような仕掛けもありません。安定して面白いものだと言えるでしょう。
ではこういう愚直なまでに真っ直ぐな物語をより輝かせるのは何かというとキャラクターなんですよね。しかし、本作はサブキャラはともかくとしてその要である主人公に輝きがなかったんです。

こういう見方って凄くダメな見方だと思うので今の内に謝っておくんですけど、私がバルドでは頂点と推すバルドスカイとの差はやはりそこなのかなと。
門倉甲中尉は個人的に好感が持てて側にいて非常に充実させてくれる主人公だった上に空ルート自体の力技はともかく、最終盤ではACTパートも使用したある仕掛けによりプレイヤーとのシンクロ率が限界振り切ってましたからね。もう自分のゲームプレイ史上最高の一体感と高揚感を味わってしまったためにそれと比べるとどうにも色褪せるなと……。
あとこれは凄く嫌で言いたくないんですけど、私がバルドで最悪とするバルドスカイゼロ、あれの主人公のエドワードは本当の本当に今思い出しても腹が立つし、なんならモニターの中までダイブしてフランやリーナとかいうクソ女共々殴りに行きたいくらい大嫌いなんですけど、彼はちゃんと一個のキャラ、人間、主人公としてそこにいると認識できてはいたんですよね。でも透にはそれがない。あまりにも稀薄でした。

まあ諸々の設定のせいで透の行動が縛られているからというのもありますけどね。そして、だからこそ終盤の反転<フリップ・フロップ>によって洗脳を打ち破るシーンが映える。あれこそがふわふわしていた透のようなものが相馬透となった瞬間とすら思えましたし、美しくて熱くなれて久々に胸が高鳴りました。

ただ、それまでの繋がりがなぁと。バルドフォースって個人的には上で言ったフリップフロップもそうですけど、シーン単位で見ると良いなあっていうのは結構あるんですよ。
でも全体としての繋がりやそれを彩るキャラが弱くて薄くなってしまっているなと。スカイやハートに一つはあった心に傷跡を残していくような綺麗で強烈なBADENDもありませんでした。

演出とかは本当に良いんですけどね。あのシーンなどを見ると心からバルドの演出考えている人は優秀だなと再確認させられますし、こんなに昔の作品でも今のそこらにある作品よりもずっと優れていると堂々と言えます。

気持ちの悪い文を垂れ流してアレですけど、言いたいのは個々のパーツはかなり良質だけど、要になるキャラクターたちがあまりに魅力が無さ過ぎたということですね。
正直、フォースの話で必ずと言っていいほど出てくるゲンハも最初は期待しましたが、思ったより話的にもエロ的にも暴れてなくて拍子抜けしましたし。


◆ACTパート

さて、バルドと言えばシナリオも話題に上りますが、それと同じくらい重要(人によってはむしろこちらが目当てか)なのがACTパート。
初代のバルドヘッドなどは最新作のバルドブリンガーに近いアクションシューティングでしたが、フォースからは多くの方が知る格ゲーのようなコンボを爽快に叩き込んでいくシンプルかつ奥が深いシステムに切り替わります。
ACTなんで詳しいことはこんなところ見るより体験版などで実際に触れるのが一番だと思います。もしくはハートのものになりますが基本は同じなので公式のバルドの遊び方を見ると良いかと。
15年前のゲーム、しかもエロゲと侮ることなかれ。CSのそれと比べても十分戦える上にハマると身の危険を感じるレベルで時間が溶けていきます、本当に。
ストーリーでの戦闘では満足できないという凄腕用に鬼畜ステージが待ち構えるHELLモードと無限に遊べるSURVIVALモードも搭載されていますからね。

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ちなみに使っていたコンボはこんな感じ。スカイやハートでは一切使わなかったシールドが大活躍でした。

スカイ以降との相違点は以下のような感じ。凄くざっくりとしたものな上に記事を書いている者は「電子の世界で悪夢を見た」をクリアできずに泣きながらロッカーに逃げ込んだヘタレドガーなので話半分に。

・常時ダッシュではなく歩きがある(ぶっちゃけ歩きなんて使う場面ないです。無駄)
・装備できるFC(必殺技)は一つまで。イニシャライザもない
・熱量の概念はあるが、ヒートチャージ技はなし
・SDはあるがBDはない
・急降下などもなし

プレイするとスカイ以降がどれだけ洗練されたシステムかが分かるのは確かなんですけど、フォースもそれに負けないくらい面白いのが怖いんですよねぇ。この頃から基礎の部分は既に完成してますから。
システムが古いからとバルドフォースを敬遠している方は騙されたと思って是非プレイしてみてください。


◆ムービー+歌

バルドフォースを語る上で外せないのはこの二点もあるのかなと。
ムービーに関しては今ではバルド以外でも有名なMju:zの神月社氏が、当時まだ今ほど一般的でも重要視されてもいなかったエロゲOPムービーを氏が自ら戯画に営業をかけて作ったものですね(昔過ぎて微妙ですが、何年も前の神月社氏のニコ生で言っていた覚えがあります)。
これ以前での商業ムービーは家族計画とPrincessHolidayくらいですかね? (いずれも出来はイマイチ)
今観ても普通にクオリティが高いと思える有名なムービーなのでゲームをやったことはないけど、これは観たことがあるという方も多そうですね。バルドOPではお馴染みの「Believe your Justice」の文言もこの頃からあります。
今でも氏の代表作としてよく出されるムービーなのでエロゲムービー史には結構な影響を与えたのではないかなぁと。

ちなみにこのOPムービーは家庭用なども合わせると4verくらいあります(初代とEXE以外はそこまで差異はありませんが。あとねこねこソフトとのコラボで作られたバルドねこフォースのムービーも無駄にこれのパロディムービーとなっております。歌はFace of Factのジャズアレンジでボーカルがねこねこ御用達だった佐藤ひろ美女史)。

歌の方のFace of Factは言わずもがなですね。


◆絵+えっちなシーン

原画はバルドスカイと同じくおっさんから美少女まで描ける菊池政治氏ですが、やはりちょっと古すぎて今見ると絵としては微妙ですね。彩音の髪とかCGだと違和感の塊。個人的には更に古いバルドヘッドの方が好きまであります。
ただ、EXEから追加されたHELLモード用の新規CGは普通に良かったので、どうせなら本編CGも描き直してほしかったと悔やまれますねぇ。対談本にあったフォースリメイク企画がポシャったのが悔やまれる。

シーン数は以下の通り(独断で短すぎるものやほとんど同じものは削っています)。
あとちなみにライターがその道で有名な方なのでSM的なものは勿論のことスカ○ロ系(FC2禁止ワードに入っていてビビりました。該当者は月菜とワイアードゴーストで珍しくブツ描写もあり。アイテム使わないと見れないです。どうせなら全員にほしかった)のシーンもあるので苦手な方はご注意を。陵辱もありますよ!

みのり……2
彩音……4
月菜……6
リャン……4
バチェラ……5
ワイアードゴースト……3
カイラ……1
玲佳……2


感想は以上になります。