極限痴漢特異点

2020年8月にアストロノーツ・シリウスから発売された、極限痴漢特異点の感想になります。

アストロノーツの前身であるアトリエかぐやチームHBでリリースされていた最終痴漢電車シリーズのコンセプトを継承した本作。
前シリーズ、特に3で話題となった痴漢にあるまじきスタイリッシュさは更にパワーアップしたものの、近年のシリウス作品に見られるあらゆる面でのボリューム低下、システムエンジンの不安定さは相変わらずでそれが最後まで足を引っ張ってしまった何とも言えない残念さが漂う作品でした。

トータルではそこまで悪くはないんですけど、ほぼゲーム性がないノベル寄りADVなのにパッチを当てても進行不能ポイントが幾つもあるのはどういうことなのでしょうか……お陰で萎えて数ヶ月積んでしまいました。

ちなみに最終痴漢電車シリーズをやったことがある方はご存知かと思いますが、本作もエロ的な意味で痴漢ゲーではありませんのでお気を付けください。

以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)。


◆システム

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本作は基本的に最終痴漢電車3のシステムを踏襲していて一日に昼一回、夜一回と二回マップを選択できるようになっています。
ここには痴漢のターゲットとなるヒロインや後述する痴漢バトルに勝利するためのレベリング用のザコ敵、通い続けると特典が貰えるラーメン屋、ヒロインの情報をくれる情報屋なんかが配置されます。

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しかし、本作はヒロイン毎に単体動作版をバラ売りしている関係上、まず最初に攻略するヒロインを一人だけ選択するようになっていて、それ以外のヒロインは選択したヒロインの攻略が完了するまでマップに出現しなくなるんですよね。
このため、前作では辛うじてゲーム性と呼べた、限られた期間内でどれだけ効率よくヒロインを落としていけるか等を計画する必要が消え失せ、完全な作業ゲーと成り果てました。

別にヒロインバラ売りは商法としては全然アリだと思いますし(特に近年のアストロノーツは露骨にコストカットしている様を隠さない苦しさを見せていますので、利益が上がるならやるべきでしょう)、否定しないんですけど、そういった商法を使うと決めたのにゲームシステムをそれに合わせて最適化しないというのはなんというかアプローチの仕方が下手くそですよね。
こういってはなんですけど、何も考えてないでしょって。

特に本作は前作よりもシナリオ方面に力を入れているように見受けられたので、この売り方とそういう力の入れ方をするならばいっそマップ選択パートは取っ払っても良くないか? と。
どうしてもゲームメーカーとして必ずどこかに遊びを入れたいのならそれこそ痴漢パートにそういうのを組み込む、というのはいくらでも出来るでしょうし。
尤も私は痴漢シチュのエロを邪魔することになるのでそういったゲーム性をこの部分に組み込むのは賛成しないですけど。


ちなみに本作は各ヒロインに一回ずつフリーHみたいなのも用意されていて、そこでこのマップ選択パートで集めたアクセサリを付けることができます。眼鏡(超重要)とか淫紋とかネコ耳とかですね。

……なんですけど、ま~~~~~~~~~~~このゲームは序文で述べた通り進行不能になるポイントが多いんです。
特に褐色ギャルヒロインであるリンのそれに該当箇所が集中していて全部で三つ用意されている凌辱シーンに突入する直前で狙いすましたかのようにフリーズするんですよねw
別のヒロインで同じ現象が出たという方をTwitterで見かけたので環境の問題かと思い、ノートPCも引っ張り出してトライしてみたのですが、やはりメインPCと同じ箇所でフリーズしました。もうお手上げです。

アストロノーツサイドも匙を投げたのか修正パッチのリリースは一度で打ち切り、CG・シーンフル化済みデータを配布という形で対応
凌辱シーンを正規の方法で見る手段がないってマジなのですか???? 暗転……フリーズ……うっギルドマスター。

こんな惨状な上にUnityになってからのアストロノーツ作品は推奨スペックをきちんと満たしていようが全体的なレスポンスが非常に遅く、何をするにしてもとろいのでアイテム収集だとかそういうのを真面目にポチポチやるのがもう馬鹿らしくなってきてしまうんですよね。今回はフル化データまで配布してしまっているので尚更です。
最初期の非Unityゲーの頃と比べると本当に天と地の差がありますからね。何故値段は上がり続けているのに質は下がってしまうのか。コレガワカラナイ。

主人公の喜壱くんは痴漢をする際にフィールドを整えることを大事にしていましたが、我々プレイヤーに用意されたそれは整備を放棄したグラウンドも同然でした。
過剰なストレスというのはこういうことを言うのでしょう。

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ちなみに近年のアストロゲーでは標準搭載のバックログの表示がおかしい問題も継続しております。至れり尽くせりですね。


本来なら語るべきことは殆どないマップパートで既に不満爆発ですが、痴漢パートに目を移してみましょうか。

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左上にターン数、右上にヒロインの体力が表示されているのでこの場合は12ターン以内に30ダメージ与えれば痴漢成功、という寸法です。
中央上の剛柔極は喜壱くんのステータス。これはザコ敵やヒロインを倒すと対応したステータスが数ポイント上がるようになっています。ここが高いほど与えるダメージ量が増え、またヒロイン毎に弱点となる部位が存在する(逆に全く感じない部位もあるので、わざと敗北したい場合はステータスを上げまくっていてもそこを選び続けるだけでOK)のでそこを突けば更に大ダメージを与えられます。

必殺技は前作でもありましたが、ターン数増加や次の行動の威力が三倍みたいなものは消えて単純なダメージ技のみとなりました。まあ余程サボっていない限りはステータスが不足するということはないので通常攻撃のみで十分なんですけどね。
ただ、技の発動演出は基本的に痴漢3の劣化品である本作においてパワーアップしているポイントのひとつであるため一見の価値はあり。テンポも良くてカッコいいです。

ターン制限こそありますが、いつものアストロゲーなのでラスボスと強モブ以外は特に何も考えなくても勝てると思います。作業ですね。

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触ったときには前作と同じく上半身下半身、下着の有無によって変わるカットインも健在。えっち。
下着のバリエーションは相変わらず一種類のみです。

ただ私は前々から思っているんですけど、痴漢ゲーにおいて一番期待するえっちシーンはこのお触りパートであるので、ここで純粋なエロシーンとして仕上げずにゲームパート主体のシーンにしたがるメーカーが多いのはよく分からないんですよねぇ。邪魔されている感しかありません。
痴漢専用車両シリーズみたいにゲーム性なしの方が実用性はずっと上がるのになぁと思います。


◆シナリオ

ストーリーは以下のような感じ(公式サイトより)。


痴漢愛好者たちの集う闇の組織『蛮痴漢(ばちかん)』。
そこでは『触り手』と呼ばれる痴漢達が、その猥褻行為を会員たちに向けて動画配信していた。
『蛮痴漢』の会員たちは、その過激な痴漢動画に興奮し、『触り手』である痴漢たちへ多額の報酬を投げ込んでいた。

どこか満たされず、暗澹とした日々を過ごしていた無職の青年「草壁喜壱」。
フリーの痴漢である彼は、ある日謎の男『カメオ』から、
この組織――『蛮痴漢』で痴漢を配信しないかとスカウトされる。
痴漢は自分自身が愉しむためであり、他人のため、金のために行う事ではないと考えていた喜壱だが、
その高い痴漢技術をカメオから称賛された事をきっかけに腕試しとして『蛮痴漢』で痴漢配信を行う事を決心する。

欲望渦巻く満員電車の中、喜壱はその卓越した痴漢の技と、
女の「痴漢願望」を見抜く異能の「眼」を武器に数多の女を快楽のるつぼへと堕としていく。
喜壱の前に立ちはだかる『蛮痴漢』の痴漢たち。
そして法の番人、痴漢撲滅組織の猟犬が、喜壱の喉笛を狙う。

痴漢依存症となった女たちが乗せられる『箱舟』とは何なのか。
そして痴漢愛好会『蛮痴漢』の真の目的とは?
――魑魅魍魎が跋扈する、混沌現世の闇の中。
喜壱の秘技が、女の欲望を暴き出す。


のっけから蛮痴漢、触り手などライターの卓越したセンスから繰り出される正気を疑うワードが攻め寄せてきますが(特に触り手は天才だと思いました)、ノリ自体は至って真面目で感触としてはハードボイルドをひとつまみ振りかけたスポ根モノと言ったところ。文体も無駄な装飾は控えめで簡素です。

基本展開としては蛮痴漢の触り手としてスカウトされた主人公・喜壱が女を次々と堕とし、組織内の凄腕の痴漢たちとしのぎを削りながらお互いを高め合い、痴漢として成長。
やがては蛮痴漢と対立する痴漢撲滅組織との戦争に関わっていく、というもの。

最終痴漢シリーズを知らない方は「は?」 となるかもしれませんが、こういったストーリーが終始真面目な文体で描写されます。
男キャラクターも立ち絵付きで割と出てきますが、一々渋くて格好が良く、それぞれ己の痴漢への美学も持ち合わせているので喜壱との絡みも味わい深いです。
本当にノリだけ見るならバトルあり、挫折あり、友情ありのスポ根ものやアクション映画のそれです。

が、やっていることは痴漢、痴漢なのです。唾棄すべき犯罪です。

前シリーズもそうでしたが、このギャップによるシュールさが笑いを誘い、熱くなりながらも笑えるのが良いんでしょうね。
特に今はSNS全盛期ですからこの奇妙な世界をスクショで共有しながら楽しむ、という遊び方にも適しているのである意味ではかなり今風といえる作品でしょう(実際発売当初はそうした楽しみ方をしているフォロワーをTwitterで度々見かけました)。
映画などでもひとりでも楽しめるものの複数人で茶々を入れながら観るとより盛り上がるタイプのものがあると思いますが、本作はそういうタイプに属するものでしょうね。

度重なる痴漢による酷使でラスボス戦の最中にとうとう腕を壊してしまった喜壱が、実は凄腕の鍼師であったミツキの力により三十分だけ元通りに痴漢が出来るように復活。
それ以上やれば二度と痴漢ができなくなるという状況の中、蛮痴漢のバックアップを受けながらラスボスへのリベンジを果たすその様はドラベースのドラーズ対ホワイターズ戦を彷彿とさせる
熱い展開で良かったですね……。

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ちなみに前作の主人公・迅さんは必殺技のCG以外は顔が前髪で隠れている古のエロゲ主人公のそれでしたが、今作の喜壱くんは立ち絵でもCGでも顔を出しています。

ひとつ残念なのはヒロインたちが商法の影響もあってか攻略されている時しか姿を見せず、メインストーリーに絡んでこないところですね。
この点を解消するとまた少し面白くなりそうな気はします。

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一分の隙もないビジュアルのメスガキしゅかちゃんすき。2にも出てほしかったです。

そして恒例となってしまった残念なお知らせですが、今作もOPムービー・曲ともになしです。


◆えっちなしーん

シーン数は以下の通り。各々に二~三回ほどある痴漢パートのものは除外。

伊澄……9(凌辱3)
しゅか……8(凌辱3)
白亜……8(凌辱3)
蒼織……9(凌辱2。※凌辱枠的には他と同じ3。しかし、三枠目が本人がノリノリな対複数への手コキだったため2にしています)
リン……8(凌辱3)
ミツキ……3(内二つは使用CGが同じ)
蓮花……2(凌辱1)

まず最初に注意点として序文でも述べましたが、本作に痴漢エロを求めてはいけません。該当シーンはゲームパート主体のため、というのもありますし、そもそもそういったシチュエーション自体が全体から見ると少数になります。
またあったとしても場所が電車やバスではなく、ターゲットがいる学校や楽屋に忍び込んで二人きりで~とかそういうのも混じるので余計にですね。
痴漢専用車両シリーズのような正味の痴漢エロがないとダメ! という方はタイトル名だけ見て手を出すと火傷するのでやめた方が良いでしょう。

そういった点を除くとM&M先生原画のアストロゲーという時点でエロくないはずがなく、実用性は高いです。
なにより凌辱シーンが基本3枠あるのは嬉しいです。正直純愛を削ってもっと欲しいところではありますが。

シーンによっては連戦しますし、CGを複数投入しているのもちらほら。尺も全盛期に比べると短くなったなぁと言わざるを得ませんが、それでも業界全体の平均くらいはあるので大きな不満は覚えないかと。
ただ、導入はかなり雑なのが多め。特にリンのそれで目立ちましたかね。

また、レガリアス辺りからのコストカット傾向は相変わらずで、CGは80枚とアストロノーツ特有のボリュームは失われたままですし、所謂心の声にはボイスが入りません。
これにより過去作のドーラ輪姦のようにシチュは最高なのにほぼボイスゼロの悲しみを背負ったシーンが誕生。
具体的に言うと白亜が生徒に輪姦されるシーンが有るのですが、殆どボイスないです。何考えてればこんな暴挙に辿り着いてしまうんですかね……こんなん許されないでしょ……。

悪い点から離れて個人的に収穫だったのはやっぱりしゅかですかね。
メスガキ、というと最近流行りの属性ではありますが、意外とエロゲで探すと商業・同人ともに該当作は少なく、グラフィックの質とボイスまで求めていくと皆無と言って良いのですが、しゅかは本当に王道のそれでしたね。
お約束のざ~こ♪ざ~こ♪煽りなどもシーン中にやってくれますのでこの手のものが好きな方は乞うご期待。
個人的には堕ちるのが早すぎたのでもう少し、というか全編クソ生意気なメスガキムーブで楽しませてもらいたかったですが……メスガキしゅかFD出してくれたら買いますのでアストロノーツさんお願いします。


感想は以上です。
袋叩きにするほど悪くはないですし、個人的には見どころゼロだった絶対女帝都市と違って興味がある方には私はそれなりにオススメ出来る作品ではあると思いますが、やはり全体の動作の遅さと進行不能バグの存在で結構イラついてしまったのでその辺りを考えるとどうなのってなりますね。メーカーとしての姿勢が……。

まあ程々のストーリーと濃いエロを求める方は検討しても良いかと。2では改善されることを祈っています。