作品名 | 恋×シンアイ彼女 | ||
メーカー | Us:track | 発売日 | 2015年10月30日 |
原画 | きみしま青、しらたま、倉澤もこ、ぺろ、あまからするめ(SD) | シナリオ | 新島夕、条智涼介、真崎ジーノ、茶渡エイジ |
歌 | Duca、yuiko | ムービー | どせい |
対応OS | Windows Vista/7/8/10 | お気に入り度 | 8/10 |
ディスクレス | 可 | 点数 | 80 |
プレイ時間 | 約24時間 |
巷では変な連中にあることないこと言われた本作ですが、実際のところは想いを伝えることに全力を尽くし、尽くしていく主人公の姿勢がただただ眩しい正真正銘の恋愛物だったなぁと。
しかし、情報公開時点で危惧していたところはそのまま出てしまったのが残念でした。良作ではあるのですが、まだまだ上を目指せたよなと。
以下は詳細な感想(一部ネタバレ部分は反転で読めるようにしています)。
◆ルート構成&シナリオ
本作のルート構成は共通ルートでいくつかの選択肢を選んだ結果が作用し、ヒロインルートに入るオーソドックスなタイプとなっております。攻略ヒロインは星奏、彩音、凛香、ゆいの四名。残念ながら今回はライターの過去作・キサラギGOLDSTARのようなサブキャラとのエロなどはありません。
また、他のエロゲと少し違うのは全体の共通ルートを終えた後に星奏・彩音ペア、凛香・ゆいペアとの第二の共通ルートが挟まれることでしょうか。4→2→1という風に攻略対象を絞っていく様をイメージして頂けたらと思います。
更に全ルート攻略後には星奏ルートの続きである終章が追加されます。故に攻略順が実質的に制限されてしまっているのが玉に瑕。星奏は必然的に最後に回すことになるかと。勿論、絶対というわけではありませんが、スムーズに終章に移るために最後にした方が無難ですね。
なので、はっきり言ってしまうと、本作を気に入るかどうかは星奏ルート(+終章)が好きかどうかで大体決まってしまうのですよね。力の入れ具合にしても。ゲームの構成にしても。
そして、あまりこういう言い方は好きではないのですが、このルートは最近の所謂萌えゲーというようなジャンルのエロゲとしてみると結構癖のある内容になっているので、好む人と嫌う人が極端に分かれる可能性が高いんですよね。それを強制的に最後にやらせるようになっているので、それに関してはちょっとどうかなとは思わなくもないです。
シナリオ内容としては小学生の頃に仲の良かった女友達へ転校前にラブレターを送ったものの、返事が貰えないまま、実質振られたような状況をトラウマとして引きずったまま学園生になり、そこで女友達と再会して再び触れ合っていく、というもの。
キーになるのはこの幼い頃に送ったラブレターと主人公が昔から続けている創作活動である、小説の執筆。
これらに共通するのは書く側に何かしら伝えたいものがあり、それを受け取る受け手がいること(創作の場合は作中で主人公の洸太郎が言うように受け手など関係なしに書きたいから書く、吐き出さないとどうにもならないものがあるから書く、というケースも多いですが、今回はあくまで洸太郎の場合ということで)。
これらを使い、本作で大切に扱われるのは気持ちの伝え方とそれを上手く届けることの難しさ。
好きという想いがある。しかし、それを上手く口にして伝えることができない。だから何か別の手段、例えば手紙や何かを使って伝えようと試みる。また、伝えるだけでなく、相手の気持ちを考えることも創作や恋愛に絡めて描いているのが特徴ですね。
幼い頃にラブレターを送り、返事が貰えないまま再会。肝心の相手はそれを受け取った事実などないように振る舞うので、洸太郎も色々と悩むのですね。そんな中、星奏が作った曲を聴く機会が出来たのですが、これに感銘を受けた洸太郎が、あの時のラブレターは君に届かなかった。振られてしまったと吹っ切り、けれど今度何かを書く時は、君の曲のように誰かに届くものが書きたい。君を感動させたいと星奏の前で決意するのですが、このシーンが凄く良かったんですよね。
クリエイティブな内容を扱うものだと結構見かける王道タイプのシーンではあるのですけれど、繊細なテキストと雰囲気作りがよかったのでしょうか。とにかく、来るものがありました。ただ、ひたむきに君に届けと力を振り絞る洸太郎の姿にとても好感を持てたんです。
本作のメインはこの洸太郎の姿勢なんですよ。君に届けという言葉は何回か作中でも出てきますが、本作を現した言葉は正にコレ。例え、反応がなくても、心を折られようとも、胸に抱いた気持ちがちゃんと届くように、あの手この手で頑張る様は胸を打つものがあります。本作をコンセプト詐欺だなんだというプレイしたかどうか怪しい輩を偶に見かけますが、この辺りを見ても言えるんですかね?
星奏が叩かれる原因となったのは社会人編となる終章(強いて叩く箇所があるならここですかね。公式のイントロダクションページでは少年少女たちの等身大の恋愛劇と書かれているので)なのでしょうが、特に問題はないように思えるのですがね。
実質的に三回洸太郎は振られるわけですが、星奏サイドにも事情がありますし。自分の世界と恋人を天秤にかけるというのは特に珍しくもない題材ですし、どちらを選んでもおかしくないでしょう(舞姫とかはよく主人公屑と叩かれていますが)。三回目は星奏はバンドメンバーを救うために恋人と自分を殺して自分自身を担保にして苦行に挑むわけですし、やはり叩く気にはなれませんね。これで浮気していたとかなら分からなくもないですが。
それでもこのような事があっても洸太郎は諦めないわけです。心を折られても、思い通りに届かなくても、自分の力や周りの力を借りて、もう少しだけと言いつつ星奏に全力を持って想いを伝えに行くんですよ。この辺りは作品全体で良かったCGや背景などのグラフィック系の出来とBGM・演出の良さが作用し、素晴らしかったです。そして何年も費やし、その結果のエピローグですし。
上でも言いましたが、本作のメインは洸太郎の想いを伝える姿勢であり、私はこれがきちんと納得できる形になっていたので不満はないです。
エピローグに関してはあの星奏は洸太郎の想いが届いたということだけを示す幻。あくまで一時の夢で再会を示唆するものではないともとれますが。
それはともかく、あの後再会できるのか否かは重要でなく、あのCGを出した時点で想いは届いた(そして星奏から何かしらのアクションは起こす)ということで確定と私は取ったので、それでもう良いのだと思います。幼い頃に渡した返事が来ないラブレターは無数のアルファコロンに姿を変えて、返事を引き出せたのですから。
でも社会人編の同棲期間はもっと長いほうがよかったかな。
以下はユーザー批判になってしまったので伏せ字。
純愛という言葉が嫌いなのであまり使いたくないのですが、これ以上ないぐらいに純愛ゲームをしていると思うんですけどね。プレイヤー側はヒロインを選ぶが、ヒロインサイドは必ず主人公を受け入れなければならない。結ばれないと純愛ゲームではない、コンセプト詐欺だというならそれはその人の中で作り上げた純愛ゲームのような何かでしかありませんし、これは純愛ゲームではない等という批判は的外れではないかなと。実際、又聞きで偉そうに叩いている人が多いように見えましたし。
別にゲームのキャラにも人権ガーとかそんな世迷い言は言いませんが、ユーザーが自分ルールを製作者に直接押し付けて、作品の何から何までを縛ろうとする今の風潮がとても嫌なんですよ。作品のここが良かった、駄目だった。バグだらけでまともにプレイできない、よってクソとかそういう個人の感想なら幾らでも言えばいいのですが、でも、製作者に対してヒロインがこういう態度をとらないのは間違っている、だからお前は次からこうしろという命令は違いますよね。
そんなに注文をつけるなら最初からこの作品にはこういう要素は一切含まれませんと長々と注意書きしているような作品にだけ手を出してほしいものです。
◆マイナスポイント
駄目な点としてはやはり、複数ライターに依る弊害がモロに出てしまっていること。
星奏ルート担当が新島さんであることは本人の発言で確定しているのですが、他は不明。おそらくは彩音も新島さん担当であると踏んでいますが、まあとにかく、星奏・彩音ルートと凛香・ゆいルートの出来の格差が酷い。
単純に考えて一本道ならともかく、分岐やらなにやらを考慮して何人ものヒロインのルートを一人で書くのは多大な負担がかかるので、複数ライターにするというのはわかるのですが、どうしてもメインとなるライターがいる以上はその人の色って濃く出てしまうものなのですよね(日野亘・衆堂ジョオペアのように二人で一人状態に近くなっている例外もいますが)。大体の場合はメインライターは担当箇所が多いですし。
恋カケに限ったことではないですが、複数ライター制のゲームって極端な話、一つの作品の中に真である部分と偽である部分が出来てしまっているんですよ。
メインライターは担当箇所が多く、大体の場合は共通ルートの全部、ないしは殆どを書いている場合が多いです。つまり、一番受け手が長く触れる部分なんですよね。そこで私たちは大体のテキストの傾向とキャラの性格を掴む訳ですが、酷いタイプの複数ライターだと途中から単純につまらないのに加えてこれらが崩壊するわけです。採るとは思えない行動、言いそうにない言葉、様々な違和感がのしかかってきて、まるで偽物に触れているような気分になって拒絶してしまう。
単独ライターでも出来の良いルートとそうでないルートはありますし、「この辺りはイマイチだなぁ」と思ったりしますが、こういった違和感は抱かないんですよ。何故ならばテキストとキャラは変わらないのですから。恋カケではこれらを潰すことが出来ていなかったなと。メインライターの方、本作で言うなら新島さんが他ライター担当箇所も挙がった後に書き直す、とかなら解消できたかもしれませんが、出来ていませんでした。そのため凛香・ゆいルートはハッキリ言ってただただ苦痛でした。私がクリアに時間が掛かったのはこの両名のルートに依るものですからね。
凛香ルートに関してはある程度はなんでもこなせるけど、他の人のようにこれだと言えるような芯になるものが自分にはない、という風な虚無感をメインに据えたもので、比較的共感を得やすい題材だったと思うのですが、書き手の力量が追いついてなくて駄目でしたね。ゆいルートはそういうものもなく、ひたすらつまらなかったです。正直、この両名のルートを書いたライターの作品は今後避けたいレベルでした。
なので作品として見るならば、評価を下げざるを得ないなと思います。あとはやはり、全体的にパロネタがやたら多いことですね。これもキツかったです。
◆えっちなしーん
尺が短く、シーン数も少し物足りないですが、シチュエーションはラブホなどを使ったり、触れ合いに重点を置いていて、過去にあったギャグを挟んだりもなく、悪くはなかったと思いますが、実用的というには足りないですね。折角絵が良いのだからもうちょい頑張って欲しい所。
それにしてもサブキャラのエロがないのは痛いですね……如月先輩、愛美、菜子、晴華、志乃の全員とえっちしたいです……したいです。
社会人編でエロを入れたのはよくやってくれました。
シーン数は以下の通り。
星奏……4
彩音……4
凛香……5(本番3)
ゆい……4(本番3)
後は書く部分がなかったのでここで書きますが、音楽鑑賞モードで一曲ずつに作曲家とボーカリストのコメントが入っていることですね。これは中々見かけない仕様なので読み応えもあり、嬉しかったです。
感想は以上です。
今回はいつもより攻撃的な内容になってしまいましたが、書かずにはいられませんでした。
自分としてはやはり駄目な点がありつつも良作ではあるかなという感じです。グラフィックや演出・BGMが醸し出す雰囲気がとてもよかったですね。EDのGLORIOUS DAYSも名曲でしたし、何より新島さんが関わっているゲームはEDムービーに力が入っていて好きです。
本作のルート構成は共通ルートでいくつかの選択肢を選んだ結果が作用し、ヒロインルートに入るオーソドックスなタイプとなっております。攻略ヒロインは星奏、彩音、凛香、ゆいの四名。残念ながら今回はライターの過去作・キサラギGOLDSTARのようなサブキャラとのエロなどはありません。
また、他のエロゲと少し違うのは全体の共通ルートを終えた後に星奏・彩音ペア、凛香・ゆいペアとの第二の共通ルートが挟まれることでしょうか。4→2→1という風に攻略対象を絞っていく様をイメージして頂けたらと思います。
更に全ルート攻略後には星奏ルートの続きである終章が追加されます。故に攻略順が実質的に制限されてしまっているのが玉に瑕。星奏は必然的に最後に回すことになるかと。勿論、絶対というわけではありませんが、スムーズに終章に移るために最後にした方が無難ですね。
なので、はっきり言ってしまうと、本作を気に入るかどうかは星奏ルート(+終章)が好きかどうかで大体決まってしまうのですよね。力の入れ具合にしても。ゲームの構成にしても。
そして、あまりこういう言い方は好きではないのですが、このルートは最近の所謂萌えゲーというようなジャンルのエロゲとしてみると結構癖のある内容になっているので、好む人と嫌う人が極端に分かれる可能性が高いんですよね。それを強制的に最後にやらせるようになっているので、それに関してはちょっとどうかなとは思わなくもないです。
シナリオ内容としては小学生の頃に仲の良かった女友達へ転校前にラブレターを送ったものの、返事が貰えないまま、実質振られたような状況をトラウマとして引きずったまま学園生になり、そこで女友達と再会して再び触れ合っていく、というもの。
キーになるのはこの幼い頃に送ったラブレターと主人公が昔から続けている創作活動である、小説の執筆。
これらに共通するのは書く側に何かしら伝えたいものがあり、それを受け取る受け手がいること(創作の場合は作中で主人公の洸太郎が言うように受け手など関係なしに書きたいから書く、吐き出さないとどうにもならないものがあるから書く、というケースも多いですが、今回はあくまで洸太郎の場合ということで)。
これらを使い、本作で大切に扱われるのは気持ちの伝え方とそれを上手く届けることの難しさ。
好きという想いがある。しかし、それを上手く口にして伝えることができない。だから何か別の手段、例えば手紙や何かを使って伝えようと試みる。また、伝えるだけでなく、相手の気持ちを考えることも創作や恋愛に絡めて描いているのが特徴ですね。
幼い頃にラブレターを送り、返事が貰えないまま再会。肝心の相手はそれを受け取った事実などないように振る舞うので、洸太郎も色々と悩むのですね。そんな中、星奏が作った曲を聴く機会が出来たのですが、これに感銘を受けた洸太郎が、あの時のラブレターは君に届かなかった。振られてしまったと吹っ切り、けれど今度何かを書く時は、君の曲のように誰かに届くものが書きたい。君を感動させたいと星奏の前で決意するのですが、このシーンが凄く良かったんですよね。
クリエイティブな内容を扱うものだと結構見かける王道タイプのシーンではあるのですけれど、繊細なテキストと雰囲気作りがよかったのでしょうか。とにかく、来るものがありました。ただ、ひたむきに君に届けと力を振り絞る洸太郎の姿にとても好感を持てたんです。
本作のメインはこの洸太郎の姿勢なんですよ。君に届けという言葉は何回か作中でも出てきますが、本作を現した言葉は正にコレ。例え、反応がなくても、心を折られようとも、胸に抱いた気持ちがちゃんと届くように、あの手この手で頑張る様は胸を打つものがあります。本作をコンセプト詐欺だなんだというプレイしたかどうか怪しい輩を偶に見かけますが、この辺りを見ても言えるんですかね?
星奏が叩かれる原因となったのは社会人編となる終章(強いて叩く箇所があるならここですかね。公式のイントロダクションページでは少年少女たちの等身大の恋愛劇と書かれているので)なのでしょうが、特に問題はないように思えるのですがね。
実質的に三回洸太郎は振られるわけですが、星奏サイドにも事情がありますし。自分の世界と恋人を天秤にかけるというのは特に珍しくもない題材ですし、どちらを選んでもおかしくないでしょう(舞姫とかはよく主人公屑と叩かれていますが)。三回目は星奏はバンドメンバーを救うために恋人と自分を殺して自分自身を担保にして苦行に挑むわけですし、やはり叩く気にはなれませんね。これで浮気していたとかなら分からなくもないですが。
それでもこのような事があっても洸太郎は諦めないわけです。心を折られても、思い通りに届かなくても、自分の力や周りの力を借りて、もう少しだけと言いつつ星奏に全力を持って想いを伝えに行くんですよ。この辺りは作品全体で良かったCGや背景などのグラフィック系の出来とBGM・演出の良さが作用し、素晴らしかったです。そして何年も費やし、その結果のエピローグですし。
上でも言いましたが、本作のメインは洸太郎の想いを伝える姿勢であり、私はこれがきちんと納得できる形になっていたので不満はないです。
エピローグに関してはあの星奏は洸太郎の想いが届いたということだけを示す幻。あくまで一時の夢で再会を示唆するものではないともとれますが。
それはともかく、あの後再会できるのか否かは重要でなく、あのCGを出した時点で想いは届いた(そして星奏から何かしらのアクションは起こす)ということで確定と私は取ったので、それでもう良いのだと思います。幼い頃に渡した返事が来ないラブレターは無数のアルファコロンに姿を変えて、返事を引き出せたのですから。
でも社会人編の同棲期間はもっと長いほうがよかったかな。
以下はユーザー批判になってしまったので伏せ字。
純愛という言葉が嫌いなのであまり使いたくないのですが、これ以上ないぐらいに純愛ゲームをしていると思うんですけどね。プレイヤー側はヒロインを選ぶが、ヒロインサイドは必ず主人公を受け入れなければならない。結ばれないと純愛ゲームではない、コンセプト詐欺だというならそれはその人の中で作り上げた純愛ゲームのような何かでしかありませんし、これは純愛ゲームではない等という批判は的外れではないかなと。実際、又聞きで偉そうに叩いている人が多いように見えましたし。
別にゲームのキャラにも人権ガーとかそんな世迷い言は言いませんが、ユーザーが自分ルールを製作者に直接押し付けて、作品の何から何までを縛ろうとする今の風潮がとても嫌なんですよ。作品のここが良かった、駄目だった。バグだらけでまともにプレイできない、よってクソとかそういう個人の感想なら幾らでも言えばいいのですが、でも、製作者に対してヒロインがこういう態度をとらないのは間違っている、だからお前は次からこうしろという命令は違いますよね。
そんなに注文をつけるなら最初からこの作品にはこういう要素は一切含まれませんと長々と注意書きしているような作品にだけ手を出してほしいものです。
◆マイナスポイント
駄目な点としてはやはり、複数ライターに依る弊害がモロに出てしまっていること。
星奏ルート担当が新島さんであることは本人の発言で確定しているのですが、他は不明。おそらくは彩音も新島さん担当であると踏んでいますが、まあとにかく、星奏・彩音ルートと凛香・ゆいルートの出来の格差が酷い。
単純に考えて一本道ならともかく、分岐やらなにやらを考慮して何人ものヒロインのルートを一人で書くのは多大な負担がかかるので、複数ライターにするというのはわかるのですが、どうしてもメインとなるライターがいる以上はその人の色って濃く出てしまうものなのですよね(日野亘・衆堂ジョオペアのように二人で一人状態に近くなっている例外もいますが)。大体の場合はメインライターは担当箇所が多いですし。
恋カケに限ったことではないですが、複数ライター制のゲームって極端な話、一つの作品の中に真である部分と偽である部分が出来てしまっているんですよ。
メインライターは担当箇所が多く、大体の場合は共通ルートの全部、ないしは殆どを書いている場合が多いです。つまり、一番受け手が長く触れる部分なんですよね。そこで私たちは大体のテキストの傾向とキャラの性格を掴む訳ですが、酷いタイプの複数ライターだと途中から単純につまらないのに加えてこれらが崩壊するわけです。採るとは思えない行動、言いそうにない言葉、様々な違和感がのしかかってきて、まるで偽物に触れているような気分になって拒絶してしまう。
単独ライターでも出来の良いルートとそうでないルートはありますし、「この辺りはイマイチだなぁ」と思ったりしますが、こういった違和感は抱かないんですよ。何故ならばテキストとキャラは変わらないのですから。恋カケではこれらを潰すことが出来ていなかったなと。メインライターの方、本作で言うなら新島さんが他ライター担当箇所も挙がった後に書き直す、とかなら解消できたかもしれませんが、出来ていませんでした。そのため凛香・ゆいルートはハッキリ言ってただただ苦痛でした。私がクリアに時間が掛かったのはこの両名のルートに依るものですからね。
凛香ルートに関してはある程度はなんでもこなせるけど、他の人のようにこれだと言えるような芯になるものが自分にはない、という風な虚無感をメインに据えたもので、比較的共感を得やすい題材だったと思うのですが、書き手の力量が追いついてなくて駄目でしたね。ゆいルートはそういうものもなく、ひたすらつまらなかったです。正直、この両名のルートを書いたライターの作品は今後避けたいレベルでした。
なので作品として見るならば、評価を下げざるを得ないなと思います。あとはやはり、全体的にパロネタがやたら多いことですね。これもキツかったです。
◆えっちなしーん
尺が短く、シーン数も少し物足りないですが、シチュエーションはラブホなどを使ったり、触れ合いに重点を置いていて、過去にあったギャグを挟んだりもなく、悪くはなかったと思いますが、実用的というには足りないですね。折角絵が良いのだからもうちょい頑張って欲しい所。
それにしてもサブキャラのエロがないのは痛いですね……如月先輩、愛美、菜子、晴華、志乃の全員とえっちしたいです……したいです。
社会人編でエロを入れたのはよくやってくれました。
シーン数は以下の通り。
星奏……4
彩音……4
凛香……5(本番3)
ゆい……4(本番3)
後は書く部分がなかったのでここで書きますが、音楽鑑賞モードで一曲ずつに作曲家とボーカリストのコメントが入っていることですね。これは中々見かけない仕様なので読み応えもあり、嬉しかったです。
感想は以上です。
今回はいつもより攻撃的な内容になってしまいましたが、書かずにはいられませんでした。
自分としてはやはり駄目な点がありつつも良作ではあるかなという感じです。グラフィックや演出・BGMが醸し出す雰囲気がとてもよかったですね。EDのGLORIOUS DAYSも名曲でしたし、何より新島さんが関わっているゲームはEDムービーに力が入っていて好きです。
コメント
コメント一覧 (12)
水月陵がメインのユニシフ作品では定番ですね
水月 is GOD
や水神
わろ
ともかく、伏せ字にして注意書きもしたのにやりたい放題でほんま草。まあワイも彼らと同程度に攻撃的なの書いたし、確かに擁護に回りすぎたからしゃーないって感じやね
根本的な意見は変える気ないけど
休日があまりにも暇だから面白い可能性のあるものを探してる
幻兄貴の反応が結構気になるのよね
・★がどんな音楽活動をしてきたのかの描写がないから何が彼女をそこまで駆り立てるのかよく分からない
・星の音という響きからまさかのロックサウンド。ピアノやバイオリンじゃだめだったのか
・たかが作曲家がバンドメンバーの一人として扱われるもの?それこそ星の音()が聞ける町や主人公のもとに居て曲を提供してればいいんじゃないの?
・一度破産した事務所が他の業界にまでパイプを持ち続けられるのか
・そもそも正確に何の借金で何でグロデイみたいな一ガールズバンドが保証人になってるのか
・なんで★だけ保証人になってないの?ここに来てなぜはぶられちゃってるの?未成年だから?でも借金は学園退学後だし・・・
・★が消息不明で借金背負ってるなか他のメンバーや家族は何やってんの?
・「連帯保証人」でなく「保証人」なのだからなぜ催告の抗弁権を使わないのか
・子供の頃の失踪はまあ・・・分かる。ただ二度目、三度目の失踪の理由についてはどんな妄想で補えばいいですかね
・メンバーとの約束でまた町を去らないといけないと分かっててなあなあの態度で主人公と付き合ったの?ただでさえラブレターの返事の件があるのに
・ラストのベンチのシーンであの★が現実だとして「誓ってもう二度とあなたの前に現れません」とはなんだったのか
四六時中洸太郎と一緒ではないということは仕事の都合上わかりますし、星奏一人の時間がそこそこあるようなので、その間に連絡を貰ったのでは。
・★がどんな音楽活動をしてきたのか……これも同上ですね。恋カケ、少なくとも星奏編では主人公である洸太郎の恋物語として徹しているので星奏視点が必要になるものは削っただけでは。
星奏の背景が受け手の想像に委ねられているので物足りないという点はわかりますが、洸太郎の話として見るとテンポ悪くなるだけかと。
・星の音という響きから……これそもそもピアノやバイオリンである必要ありますかね? 星奏にとってはインスピレーションというような意味で使っている単語かと。
なのでロックでも問題はないですし、不自然でもないかと思います。
・たかが作曲家がバンドメンバーの……&一度破産した事務所が他の業界に……&・そもそも正確に何の借金で……&・「連帯保証人」でなく「保証人」……この辺に突っ込み入れるのは正直、学園エロゲの無駄に権力を持った生徒会とかそういう「設定」に突っ込みを入れるようなものでは。言い方は悪いですけど、舞台道具のようなものと考えられないでしょうか。
創作物な訳ですし、なんでも現実はこうだからこうならないと可笑しいだと苦しいです。物語としてのリアリティがないという点で気になってしまうのなら、受け手を頷かせることのできなかったライターの実力不足ということではないかと。
・なんで★だけ保証人に……一人だけ大幅に幼いからでしょうかね? あとはなんか他のメンバーと違って表にでないようなポジションだった気がするのでそれも入る? 私もわからないです。
・★が消息不明で借金背負ってるなか……これは私も思いました。メンバーの方は星奏がみんなを助けるとかそんな発言をしていたと思うので、全部肩代わりしたような状態なのかなぁと。
または星奏とは別の方法で借金返しでもしてるんですかね。家族はそもそも描写がないので存命しているのすらわからないので何とも言えません。これもそういう設定では。
・子供の頃の失踪は……これ一つ目のものと被っていますね。二度目は約束の期限が訪れたから、三度目は借金関連でもう駄目だという手紙を受け取ったからとしか。
・メンバーとの約束でまた町を去らない……悩みつつも洸太郎に甘えたのではないでしょうか。その辺の甘えと洸太郎に迷惑をかけたことを自覚しているので、社会人編の誓いの言葉に繋がるのかと。
恋愛と仕事(後半だと仲間や責任感ですか)を天秤にかけて最終的に後者をとったという話では。
・ラスト……現実と仮定するならそれはどう見ても社会人編の洸太郎の最後の行動による成果でしょう。
届かないと思われた子の心を最後の最後で動かせて報われたという話では。
洸太郎が何処かで君の心を動かすものを書きたいと言ってましたし、それが叶った形かなと。こう言ったから絶対○○してはいけないとなったら色んな作品が駄目になりそうです。
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