娼姫レティシア~今宵、王女は春を売る~


2008年7月にcatwalk NEROから発売された、娼姫レティシア 今宵、王女は春を売るの感想になります。

ライターに官能作家を招くなど、珍しい試みがされているゲームでしたが、それが活かされているということもなく、恋泉天音先生の絵だけが輝いていた作品でした。

以下は詳細な感想。

まず本作に手を出そうという方の多くは恋泉天音先生のファンであるかと思います。

そしてその点に関してはそれなりに満足できるものかなと。

約八年前と大分古い作品ではありますが、先生の美麗な絵、下着デザインの良さ、ヒロインの唇の艶やかさなどはこの頃から既に出ていて文句の付け所がないです。

frillファン……特に痴漢専用車両時代の恋泉絵が好きだという方には持って来いの作品であると言えます。


が、絵はいいのですが、肝心のシナリオやテキストが良いかというと全く良くないなと。

本作はタイトルに「娼姫」とついているように娼婦へと身を堕とすことになったお姫様が売春する様を描く売春モノです。

加えて言うとヒロインは二名で母娘なのですが、この辺りの設定を活かそうという意志が感じられないのですよね。


まず最初の選択肢で母娘のどちらを調教するか選ぶのですが、選択肢はこれだけかつ、選ばれなかった方のヒロインはそのままフェードアウト。その後は一切出てきません。

この時点でヒロインを二名に、それも母娘にした意味は? と疑問符が浮かんでしまいます。


どちらかのヒロインがもう片方が売春している様を見せつけられるとかそういうのが欲しいですよね。

あとは同じ価格帯の某ゲームのシチュそのままですけど、堕ちきった母娘に対して、お前らのどちらかを処分することにしたから助かりたかったら自分の方が性奴隷として優秀だというアピールをしてみせろ→仲の良かった母娘による生き残りを懸けての壮絶な罵り合いが始まる、とか。


また何が酷いかというとヒロインによってプレイの内容が変わるとかそういうこともなく、買いに来る客やプレイが母娘で全部同じなんですよね。

初日・調教師による調教→二日目・イケメン青年客→不良青年客……という風に。

キャラの属性を活かしたプレイとかそういうものは一切無いです。
良いコンセプトを持ってきてなおかつ、素晴らしい絵師も連れてきたのにそれ以外のやる気の無さが目立って残念極まりないとしか。

絵以外で良かったところを挙げるならば売春モノであることを自覚して調教はワンシーンで抑えたことでしょうか。

聖娼女では売春モノなのに主人公による調教シーンが多すぎて肝心の売春シーンのボリュームが物足りないという悲劇が起きていたので、そういうのがなかったのは素直に評価したいですね。

ただ一応の主人公? は凄腕の調教師みたいな設定があるのですが、調教らしい調教もすることなく、二日目からいきなり客を取らせてそれを七日目まで続けて堕ちたヒロインを見て、「俺の最高傑作の誕生だ……」という風なことを言うのはギャグでしたね。

せめて暗転と少量のテキストを使って凄い調教を施しました的なことを描いても良かったのではと思います。

一応、公式サイトではあくまで売春によって身体を堕としていくことがメインと書いてあるのですが、そのコンセプト自体は確かに素晴らしいんですけど、じゃあ夜のお勤めの知識や経験がまるでないヒロインをどうやって立派な娼婦へと堕とすのか、丸投げではなく、何かしらの策が欲しかったですね。

もうただただヒロインは元から淫乱でしたで終わっているので、心理面で攻める描写が欲しかったところ。

そしてテキストですけど私は官能小説を読んだことがないので、それについて言及することは出来ないのですが、括弧書きによるモノローグと男根を褒める描写(逞しい、硬い、熱い、太いetc)が多かったなと。

特に後者は結構ツボだったので興奮しましたけど、他の作品と比べて独自性があるかというとそれほどのものはなかったかなと。

シーン数は以下の通り。

レティシア……9(本番8)
カトリーヌ……9(本番8)
母娘乱交……1

正確には各10シーンなのですが、シーンとも呼べないようなほどの短さなのでカウントからは外しました。

一言でいうなら絵だけゲーなんですよね、結局。
ただ貴重な売春特化なので恋泉天音先生の絵が好き、売春モノが好きという方は手にとっても損はしないかと。

ロープラ寄りのミドルで価格もお手頃ですしね。
過度な期待を持たず、上記のどれかに当てはまるなら検討してみても良いのではないでしょうか。